債務の返済が困難になってくると、経営者としては、会社の債務整理、特に破産などを検討することになります。もっとも、その際に疑問点や心配になる点が出てくると思います。
法人破産を多く手掛ける当事務所が、よくある質問についてまとめましたので、参考にしてください。
このページの目次
債務の弁済が困難になってきた場合は、まずどうしたらいいですか。
まずは、顧問税理士がいる場合には、相談してみてください。
税理士が、何か提案してくれる場合があります。金融機関は、返済額の変更、元金返済の停止などの措置をとってくれる場合があります。
金融機関が返済条件の変更に応じてくれませんでした。次はどうしたらいいでしょうか。
ここまでくると、法的整理を検討する段階になります。
破産、再生、任意整理、ADRなどを検討するために、法人の債務整理を得意としている法律事務所に相談してみましょう。法人破産は、扱ったことのない弁護士も多くいます。法人破産に精通している弁護士の方が、いい提案をしてくれるでしょう。
法人破産、民事再生、任意整理のどの手続がいいですか。
法人破産は、借金が0になりますので、事業をやめたいときは破産でいいでしょう。
事業を継続したい場合には、民事再生や破産と事業譲渡との組み合わせなどを利用します。もっとも、民事再生は、債権者の過半数の積極的同意が必要ですので、使える場合は限定的です。実務上は、あまり使われていません。
事業の収益性がない場合にも、法人破産を選択することになります。
任意整理は、その後に破産や再生に移行する割合も高いので、当事務所ではほとんど使われていません。
法人破産はどんな流れですか。
まずは、全債権者に返済を停止する旨を通知します。そうすると、返済をしなくていい状態になり、金融機関からの督促がとまります。
その後、必要書類などを弁護士に提出し、破産を申し立てることになります。ほとんどの法人破産は、破産申立から4カ月~7か月程度で終了します。
法人破産では税金や社会保険料は残りますか。
会社などの法人は消滅しますので、会社に支払い義務のある税金や社会保険料もなくなります。この点、個人破産と誤解してなくならないと書いてあるものがありますので、誤解しないようにしましょう。
最近は、この税金や社会保険料が支払えなくなって法人破産する、税金・社会保険料破産の相談が増えています。
会社は破産で消滅させるが、個人事業で事業はやりたいのだができますか。
このようなご相談は増えています。
結論からいうと、破産法上の否認事由に該当しないようにすれば可能です。
もっとも、高度な法人破産の知識、経験が必要ですので、法人破産に精通した弁護士に相談するようにしましょう。
会社破産と個人事業との組み合わせとはどういうことですか。
法律上、事業を継続したい場合には、民事再生を選択することを想定しています。もっとも、民事再生は債権者の過半数の積極的同意が必要ですし、弁護士費用と予納金で数百万円程度かかり、使いづらい制度となっています。
そこで、最近は、破産と事業譲渡(資産譲渡)の組み合わせを採用して、事業を個人や別会社で継続できないか、検討することが増えてきています。
もっとも、否認対象行為にならないよう、慎重に手続きを進めて行く必要がありますので、破産の前からご相談をいただいた方が安心です。
破産前に独自の判断で財産や事業を譲渡している場合には、対応できない場合があります。
税務申告をしていないが法人破産できますか。
税務申告をしていなくても法人破産はできますが、会計書類を収集することが困難ですので、費用が割高になったり、申立までに時間がかかることがあります。
会社代表者の債務はどうなりますか。
法人の債務を会社代表者が連帯保証をしている場合、通常、その代表者の個人破産も一緒に破産申立てをすることになります。
法人債務の連帯保証がなく、個人の債務が弁済できる状況であれば、同時に破産をする必要はありません。
法人破産に必要な費用はどのくらいですか。
中小企業であれば弁護士費用に50万円~100万円程度、裁判所に支払う予納金が22万円程度であることが多いです。会社の規模、事業継続性、債務の状況によって変わりますので、相談する弁護士に聞いてみましょう。代表者破産も同時に行う場合には、別途個人破産の費用も掛かります。
会社を破産させると事業は継続できないですか。
その会社で事業は継続できません。もっとも、適正な時価で事業(資産)を売却したりして、別会社や個人事業として事業を継続することは禁止されていません。
現に、そのようにして事業を継続している方はいらっしゃいます。もっとも、適正な時価の判断、その書類を残して証明ができるかは非常に難しいものです。精通している弁護士に相談しながら進める方が安心です。
一般の方が破産前に事業譲渡や資産売却などをすると、破産法上の否認事由に当たる可能性がありますので、注意が必要です。否認された場合には、譲渡先や処分先にも迷惑がかかります。また、債権者の反感を招かないように進める必要があります。
代表者個人の自宅や財産は売却してから会社の破産をした方がいいですか。
一概にどちらがいいとはいえません。破産前は破産法上の規制がありますので、弁護士と相談しながら進めた方が安心でしょう。
特に、自宅の売却で譲渡所得税が発生する場合は税務面での注意が必要ですし、親族や知人に売却する場合は、否認対象行為となる可能性がありますので、弁護士との協議が必要でしょう。
弁護士費用や予納金を捻出するために売却する場合にも、否認に該当しないよう査定をとる等して、証拠書類を残せるように否認対策をします。
まとめ
法人(会社)の破産は、破産前から準備が必要です。自らの判断で、株式譲渡、事業譲渡、資産処分はしない方がいいでしょう。法人破産に精通した弁護士に相談しながら、進める方が安心です。
法人破産に精通した弁護士であれば、疑問にしっかりと答えてくれるはずです。また、どのような手続きが得策か判断してくれるはずです。信頼できる弁護士を探すことが第一歩です。
当事務所のサポート
当事務所は、破産・再生に特化した法律事務所です。法人破産の申し立ては千葉県有数の件数です。
債務の弁済に困ったら、ファクタリングや勝手な財産処分は控え、まずは法人破産に精通した弁護士に相談してみてください。適切な選択肢を提案してくれるはずです。
法人破産のご相談は、ぜひ法人破産申立、法人破産管財人の経験を多く有する当事務所へご相談ください。