
個人の債務整理は、借金が返済困難な状況にある人が、法律に基づいて債務を軽減したり返済条件を見直したりするための手続きです。
債務整理には主に任意整理、個人再生、自己破産の3つの方法があります。
各手続きには特徴とメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選択することが大切です。
このページの目次
1. 任意整理
任意整理は、裁判所を介さずに、債権者と交渉して借金の返済条件を変更する手続きです。
主に、利息や遅延損害金を減免し、毎月の返済額を減らすことを目指します。
特徴
- 裁判所を介さない手続き
弁護士や司法書士が債権者と交渉し、借金の減額や返済スケジュールの変更を図ります。- 利息の減免
多くの場合、将来利息のカットや遅延損害金の減免が実現します。メリット
- 必要書類が少ない
裁判所へ申立書を提出するわけではありませんので、必要な書類が破産や再生より少ないです。 - 信用情報への影響が比較的軽い
任意整理を行うことで信用情報に記録されますが、個人再生や自己破産に比べて影響が小さいと言われています。もっとも、完済までの期間が長いと、かえって影響は長くなる場合があります。 - 財産を処分する必要がない
家や車などの財産を処分せずに済むため、生活への影響が少ないです。もっとも、破産や再生でも、一定の範囲で財産が残せるので、残せる財産が変わらない場合も多いです。 - 月々の返済負担を軽減
返済期間が延長されることで、毎月の返済額が下がることが期待されますが、弁護士費用を含めて考えると、ほとんど変わらない場合もあります。
デメリット
- 全ての債務が免除されるわけではない
元金の減額は難しいため、大幅な減額は期待できません。 - 債権者によっては合意が得られないこともある
交渉がうまくいかない場合、条件変更が難しいことがあります。
2. 個人再生
個人再生は、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、残りの債務を原則3~5年で返済する手続きです。
特に住宅ローンがある場合は、「住宅ローン特則」を利用することで、自宅を手放さずに債務整理が可能です。
特徴
- 借金の大幅減額
債務の総額が減額されるため、返済負担が軽減されます。減額率は借金の総額によって異なりますが、概ね約5分の1程度まで減ります。 - 住宅を維持できる
住宅ローン特則を利用することで、自宅を失うことなく債務整理ができます。
メリット
- 借金の減額幅が大きい
借金が大幅に減額されるため、返済が現実的になります。 - 財産を保護できる
家や車などのほぼすべての財産を保有し続けることが可能です。 - 破産に比べて社会的影響が小さい
自己破産のような職業制限がないため、ほとんどの一定の職業に就き続けることができます。
デメリット
- 裁判所の手続きが必要
手続きが複雑で時間がかかるため、弁護士などの専門家の支援が必要です。 - 収入が必要
安定した少なくない収入があることが条件となるため、低収入、無収入の人には適しません。
3. 自己破産
自己破産は、裁判所に申立てを行い、99万円を超える財産を清算することで借金を免除してもらう手続きです。
特徴
- 全ての借金が免除される
免責が認められれば、借金を返済する義務がなくなります。ただし、非免責債権は免除されません。免責不許可事由があっても、実務上、ほとんどの事案で裁量免責がなされています。
メリット
- 借金がなくなる
非免責債権を除いて全ての借金がなくなるため0からの再スタートができる。
デメリット
- 財産の処分
持ち家や高価な車などの資産は、原則として処分しなければなりません。もっとも、合計が99万円の範囲内で財産を残せます。 - 信用情報への影響
信用情報に5年~10年間記録されるため、新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなります。 - 職業制限がある
破産手続き中は、一部の職業に就くことが制限される場合があります(例:弁護士、税理士、保険代理店業務など)。
4. その他の選択肢
4-1. 任意売却
- 住宅ローンが返済不能な場合、自宅を任意売却することで、通常の競売よりも有利な条件で売却できる可能性があります。破産や再生の前の任意売却は制限がありますので、弁護士などの専門家に相談しながら進めましょう。場合によって、否認対象行為になってしまうからです。
4-2. 家族や親族からの支援
- 家族や親族から資金の援助を受けられる場合は、選択肢が広がります。専門家に相談しながら、希望をふまえて適切な選択肢を提案してもらいましょう。
債務整理を検討する際の流れ
借金問題に詳しい弁護士に相談し、自分に最適な債務整理の方法を選ぶことが大切です。
借金の金額、収入、支出などをリストアップし、どの方法が自分に合っているかを確認します。
選んだ債務整理の方法に従い、弁護士のサポートを受けながら、手続きを進めます。
ほとんどの書面は、担当する弁護士が作成しますので、必要な書類を提出することが任務となります。
債務整理後は、生活を再スタートさせるためのプランを立てます。
ギャンブルは絶対にしない、家計簿をつけて家計管理を徹底するなど、再び借金問題に陥らないように注意が必要です。
まとめ
個人の債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産といった方法があります。借金の額や収入状況、残したい財産によって、適した方法が異なります。返済が不能になったら、換金(リボ枠の現金化)、闇金、ファクタリングなどには、手を出さないようにしましょう。
破産、再生手続きに悪影響となってしまうからです。早めに専門家の助言を受けることで、適切な解決策を見つけ、生活を再建する道を開くことが可能です。
当事務所のサポート
当事務所は、破産・再生に特化した法律事務所です。支払いが難しくなってきたら、精神的にもかなり負担になって、生活や仕事に悪影響ができているはずです。
まずは、お気軽に当事務所にご相談ください。任意整理は、極めて減額効果は弱いですので、特別の事情のない限り、当事務所ではお勧めしていません。
当事務所は、債務者様のご希望をお伺いしがら、最適な選択肢をご提案いたします。闇金、現金化、ファクタリングに手を出す前に、返済を停めて、債務整理を行いましょう。
破産、再生の経験豊富な弁護士が、あなたの状況に合わせた最適な解決方法をご提案します。お気軽にご相談ください。