個人再生手続きの流れと成功のポイント

個人再生は、借金を抱えているものの、自己破産だとマイホームなどの財産がとられてしまうため、借金を概ね5分の1程度に減額し、財産を残す法的手続きです。

住宅ローンを抱えている場合でも、自宅を残しながら債務整理できる「住宅ローン条項」が活用できる点が大きなメリットです。

以下では、個人再生の手続きの流れと成功するためのポイントを解説します。

個人再生手続きの流れ

1. 弁護士への相談・依頼

  • まず、個人再生に詳しい弁護士に相談し、個人再生が適切かどうかを判断してもらいしょう。弁護士に依頼すると、債権者からの取り立てが停止し、返済しなくてよくなります。その分を、弁護士費用に充当していきます。
  •  現在の借金総額、収入状況、財産を確認し、再生手続きの準備を進めていきます。

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2. 必要書類の準備

  • 個人再生の申立てには、多くの書類が必要です。収入証明書、債権者一覧表、家計の元になる資料、保険証券などを用意します。
  • 特に、自宅を残す場合は、住宅ローンの契約書や返済予定表も必要です。

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3. 裁判所への申立て

弁護士が作成した個人再生申立書を裁判所に提出します。申立てが受理されると、裁判所が再生手続開始決定を行い、再生手続きが正式にスタートします。同時に、「履行テスト」というものが始まります。

毎月の履行テストの金額は、借金総額(住宅ローンを除く)が1500万円以下の場合、借金総額(住宅ローンを除く)×0.2÷36です。1000万円の借金の場合、約5万5000円です。

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4. 再生計画案の作成

弁護士が、3年(場合によっては最大5年)で返済できる範囲で、減額された借金をどのように返済するかを記載した「再生計画案」を作成、提出します。

借金の総額や清算価値によって減額率が異なりますが、ほとんどの方の減額率は5分の1です。

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5. 債権者による意見提出

債権者は、再生計画案に対して意見を述べることができます。個人再生では、ほとんどの債権者は反対意見を出しません。

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6. 再生計画案の認可決定

裁判所が再生計画案を審査し、問題がなければ計画案を認可します。この認可決定により、再生計画が正式に成立し、履行テストは終了し、減額された借金の本返済がスタートします。

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7. 再生計画に基づく返済開始

  • 認可決定後、再生計画に従って、減額された借金を毎月返済します。3年〜5年間にわたって、計画通りに返済を続けます。
  • 返済が完了すると、残りの借金が免除されます。

個人再生手続きの成功のポイント

1. 安定した収入を確保する

個人再生は、継続的な収入があることが前提の手続きです。

収入が不安定な場合は、再生を選択できない可能性があります。転職などを繰り返している場合などは、弁護士に相談してみましょう。

2. 再生計画案を現実的に作成する

再生は、住宅ローンのついた自宅を残せるというメリットがありますが、少なくとも3年間は返済を続けていくことになります。

自己破産と個人再生のどちらが自分に合っているかは、慎重に判断しましょう。

3. 住宅ローン条項を有効活用する

自宅を残したい場合は、「住宅ローン条項」を利用します。この特則を使えば、住宅ローンの返済条件を維持したまま、他の借金を減額できます。

ただし、住宅ローンの返済は遅れないようにしましょう。住宅ローンの返済が遅れる前に、弁護士に相談しましょう。

4. 弁護士への誠実な対応

個人再生は免責不許可事由があっても使える制度です。依頼する弁護士に嘘を伝えると、かえって辻褄があわなくなり、個人再生がうまくいかなくなることがあります。

事実、資産状況を正直に弁護士に伝えましょう。

個人再生の申立ては、弁護士との協働作業です。弁護士との信頼関係が崩れた場合には、辞任(解約)されることもありますので、注意しましょう。

5. 弁護士に早めに相談する

個人再生の申立てを自分で行うことはほぼ不可能です。個人再生に精通している弁護士に相談しましょう。

司法書士には、個人再生の代理権がありませんので注意しましょう。

個人再生のメリット

1. 借金が大幅に減額される

借金総額が約5分の1まで減額され、返済負担が軽くなります。住宅ローン以外の債務が対象です。

2. 自宅を残すことができる

住宅ローン条項を使えば、住宅ローンを支払いながら自宅を残せます。住宅を失いたくない人には大きなメリットです。

3. 職業制限がない

自己破産と異なり、個人再生にはほとんど職業制限がありません。資格制限のある仕事を続けながら手続きを進められます。

4. 財産を処分しなくて済む

基本的に財産を処分する必要がなく、財産をそのまま残すことができます。

個人再生のデメリット

1. 信用情報に登録される

個人再生を行うと、信用情報機関に事故情報として登録され、約5〜10年間、新規の借入れやクレジットカードの作成が制限されます。

もっとも、破産や任意整理も同様に事故情報となりますので、あまり変わりません。

2. 手続きが複雑で時間がかかる

申立てから認可決定まで、6か月程度かかることが一般的です。

もっとも、任意整理も6か月程度かかることもありますので、あまり変わりません。

3. 継続的な収入が必要

安定した収入がないと再生計画が成り立たないため、無職期間が長い場合や収入が少ない場合は再生手続きが難しくなります。

4. 清算価値の返済が必要

借金(住宅ローンを除く)が1500万円以下の場合、5分の1に減額されます。

もっとも、清算価値が最低限のラインです。清算価値とは、自分の財産の時価です。

例えば、借金(住宅ローンを除く)が1000万円で、預金100万円、保険の解約返戻金時価60万円、自動車時価80万円であったとします。この場合、清算価値は240万円ですので、1000万の5分の1は200万円ですが、借金は清算価値の最低ラインである240万円に減額されるということになります。

もっとも、それでも760万円の借金がなくなるのですから、任意整理と比べて非常に大きな減額効果です。

自分の保有財産が多い場合は、清算価値に注意が必要です。住宅ローンのある自宅は、自宅時価から住宅ローン残高を除いた金額が時価になります。

個人再生で主に必要な書類

  • 債権者一覧表:全ての借入先の名称、借金の額、使途などを記載
  • 給与明細書や源泉徴収票:収入を証明するための書類(家計同一者)
  • 住民票・戸籍:本人確認のため
  • 財産目録の元になる資料:車検証、保険証券、通帳(取引明細)、退職金額がわかる書類
  • 住宅ローン契約書、返済予定表(住宅ローン特則を利用する場合)

最低限必要な書類です。その他にも必要な書類があります。

まとめ

個人再生は、借金問題を解決するための強力な手段ですが、必要書類が多い手続きです。

まずは、自分の希望と状況を伝え、個人再生に精通した弁護士に、個人再生が適切か相談してみましょう。専門家のサポートを受けることで、少し気が楽になると思います。

当事務所のサポート

当事務所は、破産、再生に特化した法律事務所です。特に、個人再生の申立ては千葉県有数の取扱件数です。まずは、破産、再生、任意整理のどの手続が適切か判断いたします。任意整理は、効果が弱く当事務所ではお勧めしていません。

再生手続きを多く経験し、個人再生委員も担当している弁護士は多くありません。ぜひ、当事務所の再生手続きの経験豊富な弁護士にご相談ください。

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