破産の申し立てをすると、同時廃止事案にならないかぎり、破産管財人が選任されます。破産の申し立てをすると、どのような調査が行われるのか、どのような質問がされるのか、心配人になる方が多いです。
ここでは、破産管財人の業務や破産管財人からよく聞かれることなどを解説します。
このページの目次
1. 破産管財人の業務
破産管財人は、以下のような業務を行います。
1-1. 財産の調査
破産管財人は、破産申立書に記載された財産以外に、破産者に隠している財産がないか調査をします。
もっとも、実務上は、網羅的に調査をするという方法はとられておらず、破産手続き中の郵便物の中身の確認、過去2年分位に出てくる通帳記載事項からの確認、本人からの聞き取りなどから確認するという方法がとられています。
1-2. 免責不許可事由の調査
破産管財人は、破産者に浪費、ギャンブル、投資などの免責不許可事由がないか調査をします。
免責不許可事由がある場合には、裁量免責が妥当か裁判所に意見を出します。実務上は、幅広く裁量免責が認められています。債権者に迷惑をかけていることを自覚すること、二度と同じようなことをしないこと、ギャンブルや投資などをしていないこと等が重要になってきます。
1-3. 配当
自由財産や予納金を除いて一定の財産(概ね100万円以上)がある場合には、債権者に配当を行います。
もっとも、その前に税金等が優先的に弁済されますので、その後に残っていれば配当がなされるということになります。
2. 破産管財人面談
破産手続きが同時廃止ではなく管財事件となった場合には、破産管財人との面談を行うこがとになります。時期的には、破産開始決定の前後です。
2-1. 破産管財人との面談
管財人面談の場所
破産管財人である弁護士が所属している法律事務所で行われることが一般的です。通常、依頼している弁護士も同席します。
管財人面談の時間
破産管財人面談は、通常、30分~1時間程度です。会社の破産と代表者の破産の場合は同時に行いますので、1時間程度かかることが多いです。
2-2. 破産管財人からの質問事項
破産管財人からよく聞かれる質問事項は、以下のとおりです。
- 借入は具体的に何に使ったものですか。
- 通帳の出し入れや振込について、個別に何の使途なのか教えてください。
- ギャンブル等はやめていますか。
- 事業をやっている場合には、具体的にどのような事業用財産がありますか。
- 車はなぜ購入したのですか。
- 二度と破産とならないように、どのような考えをもっていますか。
- 使途不明金について、説明をしてください。
管財人面談でよく提出を依頼されるものは以下のとおりです。
- 自筆の反省文
- 家計簿(直近2ヶ月分)
- 財産の査定書
- 領収書や明細書などの使途の証憑
3. 債権者集会
財産状況報告集会、計算報告集会、破産手続廃止に関する意見聴取のための集会等を、総称して「債権者集会」と呼びます。
免責審尋期日と合わせて、同じ日時に行われることが一般的です。
3-1. 場所や日時
場所や日時は、破産開始決定書に記載されていますが、依頼している弁護士に待ち合わせ場所や時間を確認しましょう。
待ち時間は10分~20分程度あり、正味は5分程度であることがほとんどです。
3-2. 裁判官に聞かれること
管財人面談と異なり一定の調査は終わっている段階で、破産管財人が裁判所や債権者に調査結果や財産状況を報告する場ですので、破産者には踏み込んだ質問はほとんどありません。
4. 債権者集会後
債権者集会終了によって、破産手続きは終了です。ほとんどの管財事件は、1回目の債権者集会で終了します。
会社の破産や個人で調査事項や財産が多い場合は、数回債権者集会が開かれることがあります。開催の頻度は、3カ月に1度くらいです。
4-1. 免責決定書の受領
債権者集会が開催されると、そこから1週間程度で免責決定書が依頼している弁護士へ届きます。
その書類は重要ですので、弁護士に預けている書類とともに受領して、少なくとも5年から7年程度は保管しておきましょう。
4-2. 債権者から連絡が来た場合
破産手続きでの債権者一覧表に入れた債権者から督促が来た場合には、免責決定書を持っている旨伝えて、債務がなくなっているので社内処理してもらいましょう。
4-3.債権者一覧から漏れている債権者から督促が来た場合
なぜ、債権者一覧から漏れてしまっていたのか、事実関係を確認しましょう。債権者から漏れてしまったことに故意、過失がある場合には、免責されません。
もっとも、過失になるかどうかの判断は難しいです。破産申し立てを依頼した弁護士に相談しましょう。
5. まとめ
- 破産管財人面談は、不安になると思いますが、真摯に対応すれば問題にならないことがほとんどです。心配な点は、事前に依頼している弁護士に相談しておきましょう。
- 債権者集会は、破産管財人の報告の場ですので、リラックスして臨みましょう。
- 破産手続きは、長期間、弁護士と協働して進めて行くことになります。破産に精通した信頼できる弁護士を探すことが第一歩です。
当事務所のサポート
当事務所は、破産・再生に特化した法律事務所です。当事務所の弁護士宇都宮は、破産管財人の経験を有する、破産手続きに精通した弁護士です。
破産は、申立前からどのような行為はしていいのか、どのような財産であれば残せるのか等、見通しや事前対策が重要です。
破産に精通した弁護士に、ぜひお気軽にご相談ください。