自己破産を検討し始めた時、色々と心配になったり、疑問に思うことが出てくることがあります。
破産を多く扱う当事務所で、個人破産での注意事項をまとめましたので、弁護士に依頼を検討する前後に参考にしてください。
このページの目次
借入、返済の禁止
破産を決めた後は、借入や返済はできません。親族、友人からの借入、返済も禁止です。
破産を決めた後は、クレジットカードも利用できません。(クレジットカード付帯のETCカードも含む)、ネットショッピング(アマゾンなど)でのクレジット払い登録がある場合にはすべて解除(切替)手続をしてください。
自らの財産から家族を含む自分名義以外のクレジットカードなどの返済も一切できません。家族のクレジットカードの返済は、その方の収入から行ってください。
通信料金
通信料金(携帯料金、Wifi料金など)は、そのまま支払うことができますが、複数の携帯電話は保有を継続できない場合があります。
信用取引の制限
受任通知発送後は、信用取引(クレジット契約、分割・割賦払契約、住宅ローン契約、自動車ローン等)が5年~10年程度できなくなります。
保証人や債務者への請求
返済を停止すると、(連帯)保証人や連帯債務者がいる場合には、その方に請求が行きます。
また、抵当権や所有権留保などの担保権を設定している場合には、担保権の実行(強制競売や引き揚げ)がなされます。
贈与、安価な財産処分の禁止
弁護士依頼後は贈与、時価より低額な売却はできません。弁護士依頼前でも2年程度は裁判所にチェックされます。
やむなく車やバイクを売却する場合には、査定をとり時価以上での売却である証拠を残す必要があります。
必要書類
- 債権者の名称(会社名)・住所がわかるもの
クレジットカード、キャッシングカード、利用明細、督促状など - 身分証明書(写真付き)
- 委任状
- 住民票
- 戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 過去2年分の預貯金通帳(ご本人名義の全ての口座)または取引履歴
- 課税証明書又は非課税証明書(直近2年分)
- 源泉徴収票(直近2年分)
- 給与明細書
- 退職金見込み額が分かる資料
退職金がない場合は、ないことが記載されている書類が必要になります。 - 公的手当の受給が分かる書類(年金・児童手当・失業保険等)
- 賃貸借契約書(賃貸住居の場合)
- 固定資産税納税通知書・明細書(自己所有又は親族所有不動産に居住している場合)
- 保険証券・保険証書(保険に加入している場合)
生命保険、自動車保険、火災保険等全ての保険で必要になります。 - 保険等の解約返戻金の有無・金額等が分かる資料
ネットでログインして取得したり、保険会社に連絡を入れて取得してください。 - 株式、暗号資産の現在残高、過去2年間の取引が分かる書類
- 車検証の写し、または登録事項証明書(自動車・バイク保有の場合)
- 電気・ガス・水道料金、電話料金、家賃の領収書・明細書
支払名義・支払方法が分かる書類が必要になります。通信費は内訳がわかる書類が必要です。 - 裁判や差押がある場合には、その書類
- 確定申告書2年分
個人事業主の場合(未申告の場合はご相談下さい) - 時価が20万円以上の財産の処分・取得(2年以内)に関する書類
必要になる場合があります。
※必要書類は、複数回・継続的に弁護士に提出する必要があります。
※通帳の入出金を確認していく中で、改めて必要になる書類があります。
浪費、ギャンブル、投資の禁止
浪費、ギャンブル、投資は絶対にしないようにしてください。
銀行口座について
通帳は弁護士が預かります。
通帳がない場合は、取引明細や取引履歴などを複数回提出する必要があります。
口座を持っている銀行に借り入れがある場合
弁護士が受任通知を出すと、その時点の銀行の預貯金残高が相殺されます。
また、その銀行預金が一定期間(1ヶ月~破産手続き終了まで)凍結(相殺)され使えなくなることがあいります。事前に預金の引き出しをしましょう。
給与入金がある口座の場合には、給与振込口座の変更を検討しましょう。
返済方法が銀行引落の場合
弁護士への依頼後は返済は禁止ですので、返済用の口座には入金しないようにしてください。給与入金がある口座の場合には、給与振り込み口座の変更を検討しましょう。
水道光熱費などの引落口座と返済口座が同じ場合
水道光熱費などの引落用口座と返済口座が同じ場合には、受任通知から1か月程度は入金はできなくなります。引き落とされて返済となってしまうからです。
一時的に、水道光熱費などの支払は遅らせ、後日コンビニ払いや振込支払いなどで支払うことになります。
遠方の銀行口座を持っている場合
破産手続き中は、全ての口座の複数回の通帳記入が必要になります。遠方の銀行や取引のない口座については、解約することをお勧めします。解約する場合には、必ず解約前2年間の通帳又は取引明細を取得しておきましょう。
管財事件について
以下のような事項があると、管財事件となります。
管財事件の場合には、裁判所への予納金が弁護士費用とは別に20万円程度かかります。
- 個別の財産が20万円(現金、預貯金、保険、車、債権など)を超える
- 住宅ローンが固定資産評価額の1.5倍以内
- 会社(事業性)資金借入がある
- 免責不許可事由(浪費、換金行為、投資、ギャンブル等)がある
- その他不審な点がある
・管財事件となった場合には、申立後免責決定が出るまで、郵便物が管財人に回送されます。郵便物を管財人から定期的に受け取るという形になります。
・管財事件の場合、申立後も3か月程度管財人の監督下になり、管財人面談があり、家計簿、通帳、領収書の提出や反省文の提出を求められることがあります。
個人事業者
- 原則管財事件となります。
- 売掛金を含めて財産は最大99万円までしか保有できません。
- 取引先に管財人から連絡が入るなど、事業の継続に影響がでることがあります。
申立後の提出書類
管財事件の場合には、申立後も3か月程度破産管財人の監督下になり、管財人面談があり、家計簿、通帳、領収書の提出や反省文の提出を求められることがあります。
公告・裁判
破産開始決定や免責決定があると、官報に掲載され公告されます。いわゆる情報屋に情報収集がなされることがあります。
裁判提起への対応
支払停止や弁護士介入から破産申立までに6か月以上を有する場合には、その間に裁判を提起してくる債権者があります。
基本的には、裁判への対応はせず、判決をとられたとしてもそれを債務額として破産手続きで計上して免責を求めるいうことになります。
裁判書類は自宅に届きますので、家族に内緒にしている方は発覚する恐れがあります。
判決をとられ後もさらに申立までに期間を要すると、給与等の差押のリスクが生じます。
弁護士との解約事由
以下のような事由が発生すると、依頼している弁護士に辞任される可能性がありますので、注意しましょう。
- 電話やメールを長期間無視して連絡を取らなかった
- 指示された書類を長期間提出しなかった
- 弁護士費用の分割金を滞納してしまった
- 弁護士依頼後に高額なものを購入、処分、贈与してしまった
- 弁護士に内緒で借入(友人・親族含む)や返済(友人・親族含む)をしてしまった
- 必要書類を破棄してしまった
- 弁護士依頼後にギャンブル、投資、浪費をしてしまった
まとめ
破産を依頼することを検討しているという場合には、色々と不安になることも多いはずです。
上記の注意事項を参考に、破産手続きを弁護士に依頼するか検討してみてください。何をしていいのか、してはいけないのかしっかりと把握しておきましょう。
上記記載の禁止事項をしてしまうと破産手続きにマイナスの影響を与えてしまいます。くれぐれも注意しましょう。
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