任意整理のメリットとデメリット

任意整理は、裁判所を通さずに債権者と交渉することで、借金の返済条件を見直す手続きです。

債務者の経済的負担を軽減し、無理のない返済計画を立てることを目的としています。以下に、任意整理のメリットとデメリットを説明します。

任意整理のメリット

1.裁判所を通さない簡単な手続き

任意整理は、裁判所を介さずに弁護士や司法書士が債権者と交渉するため、手続きが比較的簡単で必要書類も少なくてすみます。

2. 利息や遅延損害金の減額が可能

多くの場合、将来利息や遅延損害金が減免されるため、支払総額を減らすことができます。これにより、多少なりとも返済負担が軽減されます。

3. 財産を処分せずに済む

自己破産のように、家や車などの財産を手放す必要がありません。そのため、生活の基盤を守りながら借金問題を解決することができます。

4. 借金の返済計画を柔軟に設定できる

返済期間を3~5年程度に延長することで、毎月の返済額を減らし、無理のない返済が可能になります。これにより、生活費を確保しつつ借金の返済を続けられます。

5. 家族や職場に知られにくい

任意整理は非公開で行われるため、家族や職場に知られるリスクが低く、プライバシーが守られます。また、官報などの公的な記録に掲載されることもありません。

6. 債権者からの取り立てが止まる

任意整理の手続きを弁護士や司法書士が開始すると、債権者は借金の取り立てを停止します。これにより、精神的な負担が軽減され、落ち着いて返済計画を立てることができます。

任意整理のデメリット

1. 借金の元金は減らない

任意整理では、借金の元金そのものが減額されることはほとんどありません。

主に将来利息や遅延損害金の減免が交渉されるため、借金が大幅に減額されることを期待できません。最近は、利息や遅延損害金の減免さえもしないという債権者もあります。

2. 信用情報に登録される

任意整理を行うと、信用情報機関に事故情報として記録されます。これにより、完済から約5年程度は新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなります。

いわゆる「ブラックリスト」に載る状態です。

3. 一部の借金は対象外

任意整理では、保証人付きの借金や住宅ローンなどは整理の対象外とされる場合があります。

保証人がいる場合、その人に請求がいくため、慎重に対応する必要があります。

4. 債権者によっては合意が難しいこともある

任意整理はあくまで債権者との任意の合意に基づく手続きです。

すべての債権者が合意するとは限らないため、交渉が難航することがあります。特に一部の金融業者は、条件変更に応じないケースもあります。

5. 手続き費用がかかる

任意整理を行う際には、弁護士や司法書士への手続き費用が発生します。

費用はケースバイケースですが、一般的に1社当たり2万円から5万円程度が必要です。

6. 返済を継続する必要がある

任意整理では、返済を続けることが前提です。返済計画に従えなくなった場合は、再度手続きが必要になり、状況がさらに悪化する可能性があります。

任意整理が適しているケース

  • 安定した収入があり、36回程度で元金の返済が現実的に可能な場合
  • 財産を維持したい場合(たとえば、家や車を手放さずに借金を整理したい人)
    →もっとも、破産や個人再生でも家や車を残せる場合があります。
  • 過払金がある場合
  • 一部の債権者のみ債務整理したい場合
  • 破産や再生での必要書類を提出できない場合

任意整理が適していないケース

  • 収入が不安定で、元金の返済も難しい場合
    この場合は、個人再生や自己破産を検討した方が良いかもしれません。
  • 元金を減額したい場合
    元金の減額を希望する場合は、自己破産や個人再生の方が効果的です。

まとめ

任意整理は、裁判所を通さずに手続きを行うため、プライバシーを保ちながら借金問題を解決できる点が大きなメリットです。ただし、借金の元金は減額されず、信用情報への影響も避けられないため、大幅な減額は期待できません。

自分の収入状況や将来の見通しをよく考えて判断することが大切です。弁護士費用はかかったがほとんど減額しなったという話も聞きますので、悪徳弁護士、司法書士には気を付けてください。

当事務所のサポート

当事務所では、任意整理をはじめとする債務整理に関する無料相談を提供しています。

もっとも、当事務所では、特別な事情のない限り、任意整理は勧めていません。財産を残しながら、破産、個人再生ができないかをまず検討します。破産や個人再生の方が、借金減額の効果が大きいからです。

法律事務所や司法書士事務所が任意整理を勧めてきた場合は、手続きが簡単だから勧められているのか、自分の為に勧めてくれているのか判断しましょう。

債務整理のどの手続が適切なのか不安がある場合には、率直にどの手続があっているかをお伝えする当事務所に、ご相談ください。当事務所では、任意整理から破産に手続き変更された方が多くご相談に来られています。

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