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民事再生の活用法:事業再生を目指す経営者へ
企業経営が資金繰りの悪化や業績低迷に直面し、債務の返済が困難になった場合でも、希望を失う必要はありません。「民事再生」は、経営を立て直し、事業を再生させるための強力な法的手段です。企業を廃業させることなく再建するためには、民事再生の仕組みを適切に活用することが鍵となります。
本稿では、民事再生の概要とその具体的な活用法について解説します。
民事再生とは
民事再生は、企業が事業を続けながら借金の減免や返済条件の変更を行い、経営を立て直すための法的手続きです。
この手続きでは、経営者はそのまま企業を運営し続けることができるため、従業員の雇用を守りながら事業を再構築することが可能です。
ポイント
- 裁判所を通じて行われるため、手続きが公正かつ透明に進められる
- 経営者が主導して再建を図ることができる(現経営陣が再建に積極的に取り組む)
- 再生計画に基づき大幅な減額が期待できる
民事再生の主な手順
1. 経営の現状把握と計画策定
まず、企業の財務状況を把握し、再建のための戦略を練ります。民事再生を成功させるためには、現状の課題を明確にし、実現可能な再建計画を立てることが欠かせません。
ここでは、債権者に対して説得力のある計画を提示することが求められます。
財務調査
負債の総額、債権者の数、事業の収益構造などを調査
再建計画の作成
将来的な収益予測や改善策を含む詳細な計画を作成
2. 再建計画の提出と債権者の同意
再建計画を作成した後、これを裁判所に提出します。裁判所は、計画の内容が現実的で実行可能であるかを審査します。その後、債権者の集会が開かれ、債権者たちに再生計画の承認を求めます。
再建計画が承認されれば、企業は債務の負担を軽減した状態で再スタートを切ることができます。
債権者集会
債権者の過半数以上の同意が必要(債権額の50%以上の同意が求められる)
承認後の実行
計画が承認されると、債務の弁済は計画に従って進められます。
民事再生の活用法とメリット
1. 事業継続をしながらの再建
民事再生は、事業活動を継続しながら経営を立て直すことができる点で、他の清算型手続き(破産など)とは異なります。
これにより、従業員の雇用や取引先とのビジネス関係を維持しつつ、会社の価値を守ることができます。
顧客や取引先の信頼維持
事業を継続することで、信頼が損なわれるリスクを軽減
従業員の雇用保障
雇用を守りながら再建を進めることが可能
2. 債務の減免と返済条件の調整
民事再生手続きでは、借金の減額や利息の削減、返済期間の延長など、会社にとって有利な条件で返済を行うことができます。
これにより、経営資金の余裕を確保し、成長戦略に集中できる環境を整えることができます。
資金繰りの改善
借金の返済負担を軽減し、事業資金を確保
柔軟な返済計画
長期的な視点で返済計画を組み立てることが可能
3. 経営者が主体的に関与できる
民事再生は、経営者が引き続き経営を行える点で、会社更生法とは異なります。経営者が企業の再生に積極的に関与し、計画の実行に責任を持つことが求められます。
この点で、経営者のリーダーシップが再建の成否に大きく影響します。
経営者の意思を尊重
企業を立て直したいという経営者の思いを形にできる
企業文化の維持
組織の強みや文化を残しつつ、経営の健全化を図る
民事再生が適切な場合
- 事業収益モデルとしては問題なく、債務が減額されれば再生が可能な場合
- 過半数の債権者から積極的な同意が得られる可能性が高い場合
- 高額な裁判所予納金を準備できる場合
法人の民事再生は、あまり活用されていない手続きです。これは、高額な裁判所予納金と債権者の過半数の積極的な同意が必要ということに起因するものと思われます。
法人の民事再生の相談、依頼は、民事再生の経験と知識が豊富な弁護士に相談されることをお勧めします。
専門家のサポートを活用しよう
民事再生の手続きは複雑であり、法律や財務の知識が必要です。そのため、経験豊富な弁護士の協力を得ることが重要です。
民事再生に精通した弁護士は、一番適切な方法を提案して、企業の再生に寄与してくれることでしょう。
当事務所の支援内容
- 現状の財務状況を把握し、民事再生が適切かを判断します
- 債権者との交渉
- 民事再生申立、その後の裁判所手続きの代理
当事務所は、破産・再生を専門的に取り扱う法律事務所です。法人において、債務の悩みがあれば、早めにご相談ください。再生が適切なのか、破産と事業譲渡の組み合わせが適切なのか、他の選択肢が適切なのか、判断させていただきます。
法人の債務を整理して、経営の精神的負担を軽減して下さい。