自己破産手続きの流れと必要書類

自己破産は、返済が困難な借金を免除してもらうための法的手続きです。裁判所に申立てを行い、免責が認められれば借金を返済する義務がなくなります。

ただし、手続きには多数の書類が必要で、いくつかの段階を踏むことになります。以下に、自己破産の手続きの流れと必要書類について詳しく説明します。

自己破産手続きの流れ

1. 弁護士への相談・依頼

  • 自己破産を検討している場合は、まず弁護士に相談します。自分の状況を率直に伝えて、適切な選択肢を提案してもらいましょう。
  • 債権者に受任通知を発送します。これにより債権者からの取り立てが停止します。債権者からは債務残高が弁護士へ通知されます。

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2. 必要書類の準備

  • 自己破産申立ての際に裁判所に提出するための書類を準備します(詳しくは後述します)。
  • 財産や収入・支出に関する書類が必要です。

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3. 裁判所への自己破産申立て

  • 弁護士が準備した書類をもとに、裁判所へ自己破産の申立てを行います。
  • 裁判所が申立てを受理すると、「破産手続開始決定」が行われ、破産管財人が選任される場合もあります(資産が一定以上ある場合や免責不許可事由があると選任されます。)。

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4. 破産管財人による調査(資産がある場合等)

  • 資産や免責不許可事由がある場合、破産管財人が選任され、債務者の財産状況や裁量免責の事情を調査します。財産が債権者に公平に分配されるよう、管財人が資産の管理・処分を行います。
  • 資産がほとんどない場合や免責不許可事由がない場合の「同時廃止」手続きでは、簡易的な手続きとなり、破産管財人面談や裁判所へ出席することなく進むことがあります。

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5. 債務者審尋(面接)

  • 破産手続の一環として、裁判所で債務者が事情を説明する審尋(面接)が行われることがあります。もっとも、これを行わなかったり、代理人弁護士が電話で面談を行う裁判所も多いです。

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6. 免責審尋(必要に応じて)

  • 借金の免除を裁判所が認めるかどうかを判断するための手続きです。実際には、簡単な問答で1分~数分程度で終わることもあります。

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7. 免責決定

  • 裁判所が免責を認めると、借金の返済義務がなくなります。免責決定は、裁判所から代理人弁護士宛に通知されます。
  • 免責決定がされるまで、破産開始決定から約3か月の期間がかかります。

自己破産手続きで必要な書類

自己破産を申立てる際には、以下の書類を準備する必要があります。

これらの書類を揃えることで、破産手続きがスムーズに進みます。

1. 破産申立書

破産を申立てるための書類で、裁判所に提出します。

弁護士に依頼している場合には、代理人弁護士が作成します。破産手続きを代理できるのは、弁護士だけです。

2. 陳述書

破産に至った経緯や借金の理由、現在の経済状況を詳細に説明する書類です。

依頼者が弁護士に状況を伝えて、弁護士が作成します。

3. 債権者一覧表

借入先の金融機関や債権者のリストを作成します。

各債権者の名称、住所、借金の額などを記載します。漏れがないように、弁護士に伝えましょう。

4. 財産目録

所有している財産(不動産、車、預貯金、保険、退職金など)をすべて記載したリストです。

通常、弁護士が作成しますので、しっかりと弁護士に伝えましょう。

5. 収入および支出の明細書

収入の状況や毎月の生活費などを記載する書類です。

給与明細など元になる資料を弁護士に提出します。

6. 住民票または戸籍謄本

自分の身元を証明するための書類で、役所で取得します。

7. 課税証明書・非課税証明書(過去2年分)

所得を証明するための書類です。市区町村役場で取得できます。

確定申告をしていない場合など、取得できない場合は弁護士に相談してください。

8. 給与明細書(直近3か月分)

給与を得ている場合は、直近の給与明細書が必要です。

依頼時、申立前後と複数回必要になりますので、とっておきましょう。

9. 預貯金通帳のコピー(過去2年分)

預貯金の出入金を証明するため、通帳を提出します。

ネットバンキングの場合は、取引履歴を提出する必要があります。

10. 家計収支表

毎月の収入と支出を記載した家計簿です。

元になる資料を弁護士に提供して、家計収支表自体は弁護士が作成することがあります。

11. 保険証券のコピー

生命保険や医療保険などの証券のコピーです。

解約返戻金がある場合は、その額も記載します。解約返戻金がない場合には、解約返戻金がないことを証明できる該当部分の書類も必要になります。

12. その他の関連書類

不動産の登記簿謄本、車検証のコピー、退職金見込証明書など、特定の財産に関する証明書が必要です。

自己破産手続きにかかる費用

1. 裁判所への申立費用

収入印紙代、郵便切手代、官報公告費用 2万円程度(裁判所によって異なります)

2. 弁護士費用

弁護士に依頼する場合、費用は30万円〜50万円程度が相場です。費用は依頼する事務所によって異なるため、事前に確認することをおすすめします。

司法書士は、破産手続きの代理権限はありませんので、注意しましょう。書類作成権限があるだけです。

3. 破産管財人への費用(管財事件の場合)

破産管財人が選任される場合、裁判所に支払う「予納金」として20万円程度が必要です。資産がある場合や複雑な案件の場合は、金額が高くなることがあります。

自己破産の注意点

1. 免責不許可事由

ギャンブルや浪費などが原因の借金の場合、非免責不許可事由となります。

もっとも、実務上は、ほとんどの事案で裁量免責が認められます。弁護士が、裁量免責を受けられるよう書面などを作成してサポートします。

2. 特定の職業に就けなくなることがある

破産手続き中や破産から一定期間、弁護士、税理士、保険代理店など、一部の職業に就くことが制限されます。インターネットなどで、自分の職業に制限があるか事前に確認する必要があります。

3. 信用情報への影響

自己破産を行うと、信用情報機関に5年~10年程度記録が残り、その間は新たな借入やクレジットカードの作成が難しくなります。

まとめ

自己破産は、経済的な再出発を図るための有効な手段ですが、たくさんの書類の提出が必要です。仕事をしながらの収集、提出は負担になりますが、借金を無くすために必要な手続きと理解して、速やかに進めましょう。

自己破産で心配なことがある場合には、事前に弁護士に相談しましょう。隠しておくと、予期しない不利益となることがあります。

当事務所のサポート

当事務所は、破産・再生を専門的に扱う法律事務所です。自己破産は、債務をなくす非常に有効な手段です。多額の債務がある場合には、無理せずまずは弁護士に相談してみて下さい。それだけでも、心が少し楽になるはずです。

自己破産は、必要書類を集めるのに苦労すると思いますが、再スタートの為に必要な手続きだと理解し、速やかに進めましょう。当事務所は、弁護士費用の分割ができます。

まずは、お気軽に自己破産に精通した弁護士に相談してみてください。自動車や家を残したいなど希望がある場合には、率直に弁護士に話してください。

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