死亡事故が発生すると、ご本人は相手に損害賠償請求ができません。代わりに相続人となったご遺族が示談交渉を進める必要があります。
今回は死亡事故において損害賠償請求手続を行う相続人の範囲や示談交渉の進め方について、弁護士が解説します。
1.死亡事故では「相続人」が損害賠償請求をする
死亡事故の示談交渉に対応するのは「被害者の法定相続人」です。「法定相続人」とは、民法が定める相続人です。
多くのケースでは49日の法要が済んだ頃から、賠償金請求権者である相続人が「代表者」を定めて保険会社と示談交渉を開始します。
2.相続人の範囲と法定相続割合
相続人になる人は以下の通りです。
2-1.配偶者は常に相続人となる
ご本人に配偶者がいる場合、配偶者は常に法定相続人になります。
2-2.配偶者以外の相続人の順位
配偶者以外の法定相続人には順位があります。
- 第1順位は子ども
- 第2順位は親
- 第3順位は兄弟姉妹
2-3.法定相続割合
それぞれの法定相続人には民法が定める相続分(相続割合)が認められます。
- 配偶者と子どもが相続するケースでは配偶者が2分の1、子どもが2分の1
- 配偶者と親が相続するケースでは配偶者が3分の2、親が3分の1
- 配偶者と兄弟姉妹が相続するケースでは配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
- 同じ順位の相続人が複数いる場合には等分にする
加害者から賠償金を受け取ったら、基本的に上記の割合で分配することになります。
3.死亡事故の示談交渉における注意点
死亡事故の遺族が加害者の保険会社と示談交渉をするときには「相続人の代表者」を定めなければなりません。保険会社は個々の相続人との示談交渉を受け付けていないので注意が必要です。
また相続人を確定するため「相続人調査」を行わねばなりません。相続人調査では膨大な量の戸籍謄本類が必要となり、ご遺族の方に負担がかかるケースも多々あります。
4.弁護士に依頼するメリット
死亡事故で弁護士に依頼すると、複数の相続人がまとまりやすくなります。自分たちで代表者を定めにくいケースでも弁護士に委任するなら全員が納得しやすいでしょう。
また弁護士が示談交渉に対応すると、死亡慰謝料を始めとした賠償金が大幅にアップするケースが多々あります。弁護士基準と任意保険会社の賠償金計算基準が異なるため、慰謝料が1,000万円以上増額されるケースが少なくありません。
相続人調査が手間になる場合でも、弁護士に依頼すれば自分たちで対応する必要がありませんし、賠償金を受け取った後の遺産分割の手続きも相談できます。
当事務所では死亡事故など重大な交通事故の被害者さまへサポートを充実させています。
配偶者を始めとして「相続人の立場となった方」ならどなたでもご相談可能です。死亡事故で賠償金の請求権者となった場合にはお早めにお問い合わせください。