相続が開始すると、相続人たちは遺産分割を進めなければなりません。
遺産分割の方法には3つの種類があります。
- 遺産分割協議
- 遺産分割調停
- 遺産分割審判
以下でそれぞれの特徴と流れを弁護士が解説します。
1.遺産分割とは
遺産分割とは、法定相続人が相続財産を分け合う手続きです。
民法は「相続人」と「相続分」を定めていますが、具体的に誰がどの遺産を取得するかまでは指定していません。そこで相続が発生したら、相続人が自分たちで遺産分割方法を決めなければならないのです。遺産分割方法が決まらないと不動産の名義変更などの相続手続きも進められません。
また遺産分割には「相続人全員が参加」する必要があります。事前にしっかり「相続人調査」を行い、漏れが無いようにしましょう。
2.遺産分割の方法
遺産分割の方法は、以下の3種類です。
2-1.遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人が全員参加して遺産相続の方法を決定する話し合いです。
もっとも基本的な遺産分割方法で、多くの事案では49日の法要が終わった頃から相続人が集まって話し合いを進めます。協議の進め方については特に決まりがなく、メールや電話、郵便などの手段を使ってもかまいません。
遺産分割協議が整ったら「遺産分割協議書」を作成して合意内容を明らかにします。
2-2.遺産分割調停
遺産分割調停は、家庭裁判所で調停委員を介して遺産分割の方法を決定する話し合いの手続きです。自分たちで遺産分割協議を行っても合意できない場合、遺産分割調停を利用すれば調停委員が調整してくれるので意見がまとまる可能性があります。
ただしあくまで話し合いを前提とするので、どうしても納得できない相続人がいると不成立になります。
2-3.遺産分割審判
遺産分割審判は、家庭裁判所の審判官(裁判官)に遺産分割の方法を決定してもらう手続きです。話し合いではないので、相続人同士で合意できなくても強制的に遺産分割方法が決まります。
自分の有利な内容の審判を下してほしい場合、裁判官を説得するために充分な資料を提出して的確な主張を行わねばなりません。
3.遺産分割の流れ
- 遺産分割協議
相続開始後49日の法要が終わった頃から相続人が全員参加して遺産分割協議を進めます。合意ができたら遺産分割協議書を作成して相続手続きを行います。 - 遺産分割調停の申立
遺産分割協議が決裂したら、家庭裁判所で遺産分割調停を申し立てます。調停内で話し合い、合意ができれば遺産分割方法が決定します。 - 遺産分割審判
調停が不成立になると、自然に遺産分割審判に移行します。審判では審判官が遺産分割方法を指定します。
有利な条件で遺産分割するには、正しい法律知識が必要です。知識のない当事者同士で話し合い、こじれている事案が見受けられます。迷いや不安をお持ちの方には弁護士がアドバイスいたしますので、お気軽にご相談ください。